活動レポート

要介護認定、暫定サービス利用者等にかかる介護支援事業について質疑

2020/03/19

3月9日民生保健委員会にて質疑を行いました。



<要介護認定について>

Q.1
先日の質疑で、平成31年4月から令和2年1月の平均処理日数は、8日とあった。平成30年度の41.0日と比較しても大幅に遅れており60日に近い状況である。特に問題なのは、要介護認定が遅れ有効期間満了までに認定結果が出ていないことにより、認定結果が非該当や想定していた介護度より低くなった時には、被保険者は介護サービスに要する費用が全部又は一部が自己負担になってしまう。また、要介護認定の遅れは被保険者だけでなく、事業所やケアマネージャーにも負担を与えており、この点は、介護人材の不足が社会問題化されている中、看過できない問題であるとこれまでも強く指摘してきたところである。委託先である大阪市社会福祉協議会での調査員の不足により調査が遅れていたということであるが、調査員が訪問して行う認定調査に一体どれくらいの期間を要しているのか、平成30年度と令和元年度の実績をお伺いする。

A.1
被保険者からの申請を受けて、認定事務センターが認定調査を依頼してから、調査員が調査票を回収するまでの日数は、平成30年度では平均9日、令和元年度では平均38.4日となっている。

<地域包括支援センターの機能強化について>

Q.1
地域包括支援センターに関する新年度予算では、運営関連事業で2億3200万円が増額されているほか、オレンジサポーター地域活動促進事業として9200万円が新規計上されている。進展する高齢化に向けて、地域包括ケアシステムの中核である地域包括支援センターの役割はますます重要になると考えるため、令和2年度の新規・増額分の内容について確認したい。まず、オレンジサポーター地域活動促進事業では、24区の認知症強化型地域包括支援センターに、コーディネーターを配置するとのことだが、その目的と役割について伺う。
A.1
本市では、社会全体で認知症の人を支える認知症サポーターを、これまで20万人養成しているが、実際に支援活動を行うサポーターは一部にとどまっている。今回、24区にコーディネーターを配置することにより、市域全体でサポーター活動を促進させ、認知症の人の支援体制を強化したいと考えている。コーディネーターの役割は、具体には、認知症サポーターに活動の意欲を高めるためのステップアップ研修の受講を促し、サポーターで構成されるチームの立ち上げや後方支援を行うことである。コーディネーターを各区の認知症強化型地域包括支援センターに配置することで、既存の機能を活用しつつ、地域の関係機関と連携しながら、サポーター活動をしっかりと地域に根付かせていきたい。

Q.2
認知症の人の支援体制を強化することは重要であるため、コーディネーターの活動をきちんと検証しながら、しっかり取り組んでもらいたい。さて、本市は、高齢者のいる世帯のうち、ひとり暮らしの高齢者の割合が4%と全国に比べて高く、また利便性の良さもあって、市外から市内の高層マンションに移り住む高齢者も多いと聞く。一方、今年2月に大阪府警が発表した孤独死の調査結果によると、2019年の1年間に大阪府内で死後2日以上経過した孤独死が2,996人おり、そのうち65歳以上の高齢者が71%に上るという。近隣や地域とのつながりが薄いひとり暮らしの高齢者が、持病が悪化するなどで介護が必要な状態に陥ったときに、誰にも気づかれず孤独死に至る可能性があることは容易に想像できる。また、ひとり暮らしで認知症を発症した場合は、近隣トラブルに発展してから見つかることがあるとも聞く。地域包括支援センターは、高齢者の相談窓口として、様々な相談に介護事業所などと連携して対応していると聞くが、こうした事例に対しては、どのように対応をしているのか。

A.2
地域包括支援センターにおいては、実際に、地域との関係が希薄なひとり暮らし高齢者が、要介護状態になったり認知症を発症し、相談に繋がる時点ですでに問題が深刻化し、支援を開始すること自体が困難な事例が多数あがってきている。このような支援困難事例については、関係機関が情報を共有し、協働して課題解決する必要があるため、地域包括支援センターが、区役所や医療・介護等の必要な関係機関・団体を招集し、「地域ケア会議」を開催しており、個別事例についての対応を進めている。また、「地域ケア会議」を重ねる中で、「高層マンション住民の孤立化」や「潜在する要支援者の把握」など地域の課題を抽出し、関係機関と共有することで、例えばマンション住民が交流できる場づくりなど、地域における予防的観点での取り組みにつなげている。

Q3.
地域包括支援センターが関係機関と連携し、困難事例の解決、地域課題への取組につなげている状況は理解できた。来年度予算で増額される運営関連事業費では、66か所全てのセンターに「地域ケア推進担当」を増員するとのことである。「地域ケア推進担当」は平成29年度から配置されているが、今回、増員することで、センターの機能がどのように強化されることになるのか伺いたい。

A.3
先ほどのような課題への取り組みを進めるためには、様々な課題を抱える方に関わる機関との協力体制を構築し、必要に応じて各機関との連携や会議の開催が必要であるが、その役割を担うのが、今回増員する「地域ケア推進担当」である。平成29年度に「地域ケア推進担当」が配置されてからも、高齢者の増加や課題の複雑化に伴い、地域包括支援センターが開催する課題取り組みのための会議は年々増加し、さらに他機関が開催する会議への参加要請も増えるなど、業務が大幅に増加している。今回、職員の増員を図ることにより、医療や介護、地域など多岐にわたる関係者らとの連携を深め、センターの機能を強化したいと考える。

Q.4
新年度は現状に即して人員体制を強化するとのことだが、地域包括支援センターの職員からは、年々業務が煩雑化し、さらに繁忙となっているとの声を聞く。センターには地域包括ケアシステムの中核的な存在として、多くの専門的な役割が求められているが、職員が疲弊しては元も子もない話である。センターの職員が、果たすべき役割に誇りとやりがいを持って、生き生きと活動することこそ、高齢者や地域の関係者にも良い影響を与え、効果的な活動に結びつくものと考える。増員して終わりではなく、真に実態に見合った体制になっているのかどうか、しっかり検証し、今後も機能強化に努めるために、適宜、予算を拡充する必要があると考えるがいかがか。

A.4
地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムの中核的な役割を担う機関として非常に重要であると考えている。委員ご指摘の通り、地域包括支援センターの業務が繁忙になっているとの声は、様々な所からあがっているところである。今回、地域ケア推進担当を増員することで関係機関との調整機能を強化し、複雑化・多様化した高齢者の課題解決を促進させることができると考えており、こうしたことがセンターの職員のやりがいにつながるものと考える。また、体制強化に加え、事務の効率化など繁忙状況の解消を図り、センターの職員が本来果たすべき専門的役割を発揮できるよう進めていく。今後さらに増えるとされる高齢者の課題やニーズに対応していけるよう、実施状況を踏まえて、引き続き地域包括支援センターに必要な体制強化や予算の確保に取り組んでまいる。

<暫定サービス利用者等にかかる介護支援事業について>

Q.1
次に、令和2年度予算案に計上されている事業についてお伺いする。要介護認定がこれだけ遅れている中ではあるが、要介護認定の申請をされた方で、がん末期の患者等のように介護サービスの利用を急がれる方については、迅速に認定調査を行っていると聞いている。ただ、どれだけ早く調査に行くようにしても、その間に状態の急変等により亡くなられた場合は、暫定的に利用していた介護サービスの利用料が全額自己負担になる。令和2年度予算として「暫定サービス利用者等にかかる介護支援事業」が新たに200万円計上されているが、これは、こういった方を支援する事業となるのか、事業の中身についてお伺いする。

A.1
介護サービスの利用について急を要する場合には、認定申請後であれば、認定調査を行う前であっても、介護支援専門員が暫定ケアプランを作成のうえ、介護サービスの提供が可能となっている。ただ、申請者が認定調査前にお亡くなりになられた場合は、要介護認定の結果が出ないため介護保険が適用されず、それまでの費用の全額が自己負担となる。本事業は、このような介護保険制度の狭間を補完するため、本来受けられるべき給付を受けられずに亡くなられた方を対象に介護給付費相当額の補助を実施してまいる。また、介護支援専門員が作成する暫定ケアプランの作成にかかる費用も介護給付費として支払われなくなるため、この作成料についても補助の対象としており、予算に計上している。

Q.2
不幸にも調査を行う前に亡くなられた場合は、暫定サービスの利用料が全額自己負担となるとのことであり、これは献身的に介護をされたきた方にとっては、ご本人が亡くなられたことの悲しみに加え、利用していた介護サービスの利用料の負担も求められるなど、精神的にも大変な負担になっていた。また、こういった場合、事業者も暫定ケアプランの作成料を請求できず泣き寝入りしていたと聞いている。本事業は福祉局長肝いりの事業と聞いているが、市民や事業者に寄り添ったものであり、大いに評価できる。令和2年度は200万円という少額であるが、事業開始後の状況をみて必要であれば予算の増額もお願いしたい。ぜひともやってください。

A.2
新規事業でもあり、今後、事業実績の踏まえ、令和3年度以降の予算について反映してまいりたいと考えている。

<障がい者スポーツ振興について>

Q.1
障がい者スポーツの振興について、お聞きする。今年は、東京で2回目となるパラリンピックが開催される。障がいのあるアスリートにとってパラリンピックなどの競技大会は自己実現の場でもあり、トップレベルの競技者が活躍する姿は、人々に感動や夢、希望を与え、明るく活力ある社会の形成に寄与する。東京2020パラリンピックの成功に向けた大阪市の貢献について、私が4年前の予算委員会で質疑を行った。その後、平成28年7月には、舞洲障がい者スポーツセンターがボッチャ競技のナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点の指定を受けたが、指定を受けてからこれまでの取組状況と成果をお聞きする。

A.1

舞洲障がい者スポーツセンターは、重度の障がいがある方でも宿泊できる施設や各種スポーツに対応できる機能を備えていることなどもあり、平成28年7月、東京パラリンピックに向けたボッチャ競技におけるナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点の指定を受けた。指定以降、ボッチャ競技のナショナルチームの強化合宿を中心に、育成指定選手や次世代選手を対象とした強化練習会なども毎週のように実施されている。年間の実績としては、指定を受けた当初の平成28年度は18日であるが、平成29年度以降は、毎年80~90日にわたり、強化合宿や練習会が実施されている。ボッチャ日本代表チームは「火ノ玉ジャパン」と呼ばれ、2018年の世界選手権では初めてとなる銀メダルを獲得するなど、東京での活躍が期待されている。

Q.2
ボッチャは、私も体験したが、重度の障がいがあっても参加でき、障がいのある人とない人が一緒にできる競技である。強化拠点の指定をきっかけに、ボッチャ競技が広く市民にも普及していくことを望む。ボッチャに限らず、長居障がい者スポーツセンターでは、初めてスポーツをされる方から競技スポーツをめざす方まで幅広い層を対象に、個々の状況に応じたスポーツ教室や指導に取り組んでおり、障がいのある方の自立と社会参加を促進するために大きな役割を担っている。しかしながら、開設から46年目を迎え老朽化が進んでいることに加えて、平成30年には豪雨や台風による被害が発生したこともあり、利用者からは長居の将来に対する不安な声を聞く。以前に、長居障がい者スポーツセンターの老朽化について質疑したときには、耐震性には問題がないとの答弁であり、必要な改修工事を計画的に進めていくことを要望するにとどめたが、このような災害による被害が発生するのは老朽化の影響もあると思われる。そして、復旧工事に余分な費用が必要となる。やはり、この間、我が会派が求めてきたように、早急に建替えを進めるべきと考える。まず、これらの災害被害からの復旧にはどれくらいの費用がかかったのか、そして、仮に建替える場合には、どの程度の費用が見込まれるのか、お尋ねする。

A.2
まずは、台風等の被害により長居障がい者スポーツセンターをご利用の皆様にご迷惑をおかけし、関係の皆様方にご心配をおかけしたことを改めてお詫びする。平成30年の災害からの復旧工事にかかった費用は、屋上防水改修工事、体育館トップライトガラス取替工事、プール棟屋上換気扇改修工事の合計で約900万円である。建替えの費用については、条件により大きく異なってくるが、平成27年に出された「大阪市公共施設マネジメント基本方針」の中で、本市施設が築65年を迎えるときに同規模の施設に建替えることを前提とした費用が試算されている。それによると、長居障がい者スポーツセンターを現状の規模に建替えることを前提とした工事費の試算は約50億円となる。

Q.3
令和2年度の福祉局予算には、「長居障がい者スポーツセンター構造躯体調査費用」として800万円が計上されており、先日の代表質問では、「調査の結果も踏まえて整備方針を出していく」と市長が答弁されている。調査の結果によっては、老朽化が著しく躯体がもたないような場合は建て替えるしかないと思うが、どうか。また、先ほどの答弁によると、「公共施設マネジメント基本方針」の中での試算とのことだが、建替える場合には多額の費用負担が見込まれる。整備方針の決定に向けては、民間の資金やノウハウを活用するPFI手法の導入や、財源の確保策など、本市の財政負担の軽減も合わせて検討すべきと考えるが、福祉局の考えを聞く。

A.3
長居障がい者スポーツセンターの整備方針については、現在、実施している外部有識者による「あり方検討会議」の意見や、令和2年度に実施予定の構造躯体調査結果などを踏まえて決定していくこととしている。構造躯体調査は、コンクリート圧縮強度や鉄筋の腐食度などの建物の耐久性を調査するものであり、その結果が、委員ご指摘のように「構造上危険な状態」とされた場合は、建替えも選択肢の一つであり、そういった状況や先ほど申し上げた外部有識者の意見などを踏まえて検討を進める。また、財政負担の軽減については、福祉局としても重要なことと考えており、PFI手法の導入検討も含め、公共施設マネジメント基本方針をはじめとする本市ルールを踏まえて検討していきたい。これからも、障がいのある方が、長居障がい者スポーツセンターを安心して安全に利用できるように、当面必要な補修、改修工事を実施しながら、建替えも含め将来に向けた整備方針について、令和2年度中にお示しできるよう取り組んでいきたい。

Q.4
令和2年度中に決定するということだが、利用者のことを考えても、できるだけ早くに方針を出していただきたいと考えている。4月には構造躯体調査の事業者を公募し、調査の期間を半年としても、遅くとも年内には整備方針を決定できるのではないか。

A.4
長居障がい者スポーツセンターの整備方針については、これからの障がい者スポーツ振興の方向性を含め、令和2年度に実施予定の構造躯体調査の結果や、現在実施している外部有識者会議でのあり方検討の結果を踏まえ、令和2年度に決定していくこととしている。委員ご指摘の点も踏まえ、できるだけ早期に示しできるよう取り組んでまいりたい。

<障がいのある方の地域移行について>

Q.1
施設で生活されている障がいがある方々の、地域生活への移行について聞く。障がいのある方の地域移行は、大阪市では、障がい者支援計画・障がい福祉計画において数値目標を掲げて取り組んでいる、重要な課題である。地域生活への移行を進めていくためには、住まいや日中活動の場を確保することや、福祉サービスの利用や緊急時の対応等しっかりと調整しながら、地域での生活づくりを支援していく必要がある。特に、重度の障がいのある方々、たとえば医療的なケアが必要な重症心身障がいのある方や、多動や不安定な行動等の強度行動障がいのある方々が、地域で暮らすためには、一人ひとりの障がいの特性を十分把握した上で、それに相応しい生活全般にわたる手厚い支援が必要となる。そのため、3年前の予算市会において、私から代表質問で、また我が会派からも、重度の障がいのある方々が地域で安心して生活できる支援の充実について、地域移行も含めて質疑させていただき、重度障がい者の生活を地域全体で支えるための受け皿となる社会資源の確保など施策の一層の充実に取り組むとご答弁いただいていた。重度障がい者の地域移行を進めるための施策として、令和2年度予算案において「強度行動障がい者のグループホーム移行促進事業」が新規で5,400万円計上されているが、この事業の内容についてお聞きする。

A.1
「強度行動障がい者のグループホーム移行促進事業」は、強度行動障がいのある方々の施設から地域への移行等を促進するために、住まいの場となる障がい者グループホームに対して、受け入れにあたり必要となる職員体制の確保や住居の改造について、支援を行うものである。事業の内容は、グループホームへの受け入れを促進するために、専任の職員を配置していただき、対象となる方の行動障がいの状況把握や、ホームを開設する住宅物件の確保、体験入居中の支援などホームへの受け入れに係る調整と、ホームへの入居後、その方が新たな生活環境に慣れ安定して生活できるまでの間、集中的に支援を行っていただくとともに、グループホームを開設する住居の改造費を助成し、たとえば、大きな声や音を出される方のために防音用の二重窓の設置や、入居者が精神的に落ち着いて過ごされるよう居室の壁の色や材質を変更する等、一人ひとりの障がい特性に応じたきめ細やかな住環境の整備を行っていただくものである。

Q.2
強度行動障がいのある方々の移行先となる障がい者グループホームに対し、入居前から入居後、安定されるまでの間の専任職員の配置や、個々の障がい状況に応じた住宅改造費を新たに助成するなど、移行を促進するための事業と理解した。施設から地域への移行を必要としているのは、大人の障がい者入所施設で暮らす方々だけでない。18歳を過ぎても次の生活の場に移ることができず、障がい児入所施設で生活されている大人の入所者、いわゆる「年齢超過者」がいる。障がい児入所施設の年齢超過者については、平成24年の児童福祉法の改正により、国が定めた期限までに次の生活の場へ移行しなければならないとされている。この期限については、当初は平成30年3月末までとされていたのが、一度は延長されたものの令和3年3月末までとなっており、期限まであと1年に迫っていると聞いている。障がい児入所施設の年齢超過者の地域移行について、大阪市では以前、障がい児入所施設にコーディネーターを配置する事業を実施し、集中的に取り組んでいたと記憶する。この間の年齢超過者の地域移行の状況について聞く。

A.2
年齢超過者の地域移行を進めるため、平成26年度から平成28年度にかけて、「障がい児入所施設療育機能強化事業」として、市内3か所の障がい児施設にコーディネーターの配置を行った。コーディネーターは、移行に向けた個々の計画や訓練・支援のプログラムを作成し、受け入れ先となるグループホーム等の開拓、各種福祉サービス利用の体験調整を行うなど、地域での生活づくりに取り組み移行を支援してきた。また、コーディネーターの配置終了後も、各施設において年齢超過者の移行に取り組まれており、全ての方がグループホームに移行されたわけではないが、平成26年度当初に105名いた年齢超過者が、令和2年2月現在44名にまで減少している。

Q.3
この間、年齢超過者の地域移行が進んでいたことは理解できる。しかしながら、障がい児施設から移行した方々が、移行先で無事に生活されているのか気になるところ。移行後の生活状況は把握できているのか。また、次の生活の場への移行を果たせず、障がい児入所施設で生活をされている方が未だ44名いるとのことだが、現在、施設に残っている年齢超過者は、どのような方々か。また、この方々の移行が進んでいないのはなぜか。

A.3

年齢超過者の移行後の生活状況については、障がい児入所施設の方に話を伺ったところ、グループホームにおいて、受け入れ前に体験利用等を十分に行っていても、住み続けてもらうにあたって、対応に苦慮されることも多く、強度行動障がいのある方の受け入れにあたっては、一定のマンパワーが必要などの声も聞いている。次に、現在も障がい児入所施設で生活されている年齢超過者の状況については、44名のほとんどの方に重度の知的障がいがあり、その多くは自傷や他害、激しいこだわり等の強度行動障がいのある方である。・年齢は、30歳以上の方が30名と約7割を占め、最年長の方は46歳と長年にわたり施設で生活をおくられている。この方々の移行が進み難い要因については、障がい児施設の方に伺ったところ、移行先となるグループホームにおいて、強度行動障がいのある方々を受け入れるにあたり、住宅物件の確保が難しいことに加え、手厚い支援を提供するための知識や経験、マンパワーの不足があると聞いている。

Q.4
年齢超過者のグループホーム等への移行は、やはり平穏無事に進むものではない。長年生活された施設から新たな生活環境に変わることで、不安定な状態が強くなり他害行為が著しくなったり、生活リズムが崩れて昼夜逆転の生活となるなど、その強度行動障がいへの対応は非常に難しいものである。現在施設で生活されている44名の方々の多くに著しい強度行動障がいがあることに加え、受け入れ先における職員体制の確保の困難さから、地域移行が容易ではないのは当然である。また、施設での生活が長い方が多いため、地域において生活を始めるためには入居前の段階からしっかりと支援を実施していくことが重要であると感じた。障がい児入所施設の年齢超過者の地域移行をしっかりと進めていただきたいが、いかがか。

A.4
委員ご指摘のとおり、現在障がい児入所施設で生活される方々の多くに著しい強度行動障がいがあり、また受け入れ先における職員体制の確保などの課題があると認識している。令和2年度から「強度行動障がい者のグループホーム移行促進事業」を実施し、受け入れ先となるグループホームに対して職員体制の確保等を支援し、年齢超過者のグループホームへの移行が進むよう取り組んでまいりたい。

Q.5
障がいのある方々の地域移行は、障がい者施策の大きな柱の1つであり、特に重度の障がいのある方々が地域で安心して暮らせるよう、支援を充実することは非常に重要である。そうした中、今般「強度行動障がい者のグループホーム移行促進事業」が予算化されたことにより、これから地域移行が進んでいくことが期待される。この事業に限らず、医療的ケアが必要な重症心身障がい者や、高齢重度障がい者が、地域で安心して生活できる支援の充実を図っていくべきであると考える。そのためには、来年度予定されている障がい者の次期計画の策定に当たっては、障がいのある方々のニーズをしっかりと把握し、重度の障がいのある方々の地域移行が一層図られるよう、更なる支援策を盛り込むべきと考える。地域移行の一層の推進を図るために、これからどのように取り組まれるのか、障がい者施策部長の見解を問う。

A.5
本市では、障がいの有無にかかわらず、誰もが人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、「個人としての尊重」「社会参加の機会の確保」「地域での自立生活の推進」の3点を基本方針として、障がい者施策の推進に取り組んでいる。施設から地域生活への移行については、「施設から地域へ移すだけの支援」というだけではなく、「一人ひとりが希望する地域での生活づくりを支援すること」であり、障がいの種別や程度、状態に関わらず、本人の意向を十分に尊重しながら進めることが必要と考える。委員ご指摘のとおり、施設からの地域移行の取組みについては、強度行動障がいのある方々を含め、医療的ケアが必要な重症心身障がい者や、障がいのある高齢者の方が、地域で安心して生活できるよう、更なる充実を図っていく必要があると考える。そのため、今般予算化した「強度行動障がい者のグループホーム移行促進事業」を着実に実施するとともに事業の検証を行い、また障がい当事者の方のご意見もお聞きしながら、来年度に策定を予定している障がい者支援計画や次期障がい福祉計画に更なる支援策を盛り込むなど、地域移行が着実に進むよう取り組んでまいりたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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