活動レポート

財政総務委員会で質疑②

8月31日、財政シュミレーションについて質疑しました。

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Q1.

財政シミュレーションに新型コロナウイルス感染症による影響に関する取扱いが記載されている。その中で今後の財政的な影響として、「新型コロナウイルス感染症による影響は全国の地方自治体共通の課題であり、地方交付税や臨時の交付金等による相応の財源措置が想定される」とされている。地方交付税の算定では、税収の75%算入となっていることとの関係で、相応の財政措置が想定されるとした考え方について確認する。

A1
国には、地方が行政需要に対応し、安定した財政運営を行えるように財源を確保する役割がある。そのため、地方交付税法により、地方財政計画を作成し、地方交付税などの地方財政対策をセットで講じることにより、地方団体が標準的な行政水準を確保できるよう地方財源を保障することとされている。この中では、(地方歳出等が一定と仮定すると)税収減の100%が地方財政対策に反映されるため、必要な財源が確保される仕組みとなっている。一方で、個別の地方団体の交付税を算定する際、各団体の自主性、独立性を保障し、自主財源である地方税の税源涵養に対する意欲を確保するために25%の留保財源を残すこととしているもので、標準的な行政水準を確保するための財源保障とは区別して理解いただく必要があるところ。財政シミュレーション中の「地方交付税や臨時の交付金等による財源措置が想定される」との説明は、今申し上げたような地方財政対策の制度趣旨についてお示ししたもの。

(要望)個々の地方団体における地方交付税の算定では、地方税の税収確保の意欲を高めるために税収の75%算入とされていることから、税収減の全額が措置されない制度となっている。一方、国には、地方団体が安定した財政運営を行えるよう財源確保する役割を担っているとのことである。そうしたことから、収支に大きな影響を生じさせないよう、国に対して、しっかりと働きかけてもらいたい。

Q2
今議会の審議の参考にということで、8月11日に新たな財政シミュレーションが公表された。特別区の財政運営が成り立つかどうかの検証資料であり、市民の皆さんの判断にとっても重要な試算資料だと思う。そこで、この財政シミュレーションが適正に試算されているかどうかを確認しておきたい。財政シミュレーションは、市「粗い試算」をベースに算出し、特別区分・大阪府分に仕分けられた「財政収支推計」という部分に、「粗い試算」に未反映の改革効果額、組織体制の影響額、特別区の設置コストを加味して試算されているとのことである。今回のシミュレーションを詳細に見てみると、「粗い試算」をベースとする「財政収支推計」部分では、特別区分と大阪府分の合計額が「粗い試算」の収支と一致していないのに気付いた。例えば、特別区が設置された直後の令和7年度でいうと、特別区の当該部分は25億円の黒字、大阪府では27億円の赤字ということで、財政シミュレーション上は合計で2億円の赤字となるが、「粗い試算」の令和7年度は89億円の赤字となっており、87億円の差がある。両者の試算で何か違いがあるのか。

A1
差が生じているのは、制度の検証という財政シミュレーションの試算目的から、特別区制度案や現行の地方財政制度に即して精査しているため。その具体的な要因と金額内訳については、
・地方交付税の基準財政需要額のうち、「粗い試算」では毎年度0.9%減するものとして見込まれている個別算定経費について、    令和7年度から交付税制度に即して横置きしたことで16億円

・給食無償化に伴い、児童生徒就学費補助の給食費分の歳出が不用になるのを反映したことで15億円

・市立高校の大阪府への移管による影響を令和4年度から加味させたことで17億円

・大阪市負担分の万博会場建設費のうち特別区設置後に生じる額について、大阪府に承継する大阪市の基金を充てることによる影響額で39億円である。合計金額にして、87億円の差が生じたものである。

Q3
「粗い試算」と財政シミュレーションにおいて、市の粗い試算から変更している部分について、どこにどのように表記されているのか確認しておきたい。

A3
財政シミュレーションの資料4ページに、財政シミュレーションを試算するにあたっての前提条件をお示ししている。地方交付税の基準財政需要額のうち、「粗い試算」では毎年度0.9%減するものとして見込まれている個別算定経費については、試算条件の中の歳入「地方交付税」の項目において、基準財政需要額について「個別算定経費は、特別区設置後は横置き(R7年度~)」と表記しているところ。給食無償化に伴い、児童生徒就学費補助の給食費分については、試算条件の中の歳出において、『「小中学校給食費無償化」に伴い給食費分の「児童生徒就学費補助」(毎年度15億円)が不用となることを反映(R3年度~)』と表記しているところ。市立高校の大阪府への移管による影響については、試算条件において、「市立高校の大阪府への移管(R4年度)による影響を加味して推計」と表記しているところ。大阪市負担分の万博会場建設費のうち特別区設置後に生じる額を、大阪府に承継する大阪市の基金を充てることについては、特別区設置協定書や特別区制度案に基金の承継を明記しているため、収支の前提として直接的な記載はしていないが、財政シミュレーション19ページに試算条件の詳細では、特別区に承継される財政調整基金の残高試算の前提として、「万博会場建設費(大阪市負担分)のうち特別区設置後に生じる額として、大阪府に基金として承継することによる影響額、39億円を減少」と表記しているところ。

(要望)

それぞれの変更について、きちんと書き込まれていることが確認できた。ただ、説明を聞いて読み込まないと分からないような表記となっている。財政制度は非常に複雑で、何をどこまで書くのがもっとも分かりやすいかというのは一概に言えない部分もあるが、今後、市民に協定書や制度案の内容を説明していくに当たっては、よりわかりやすく、丁寧な説明とするよう要望しておく。

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